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助け人走る

助け人走る

助け人走る

放送時間

毎週月曜日~金曜日 15:00~  2017/9/21スタート

番組内容

「助け人」稼業は、世のため人のためになる人助け仕事なら何でも請負うという立派な表稼業を看板にしている。
この稼業は、もと“幻の清兵衛”の異名を持つ盗賊だった大工の棟梁・清兵衛(山村聰)が、子分の油紙の利吉(津坂匡章)を番頭にして始めたものである。平常は、パートタイムの職業紹介所 <よろず助け口御引受処> に大勢出入りする助け人たちに、引っ越しの手伝いやらドブ掃除、お妾さんの夜のお守りといった仕事を、番頭の利吉が采配して割当てていく。ところが時には、お家騒動の解決を助けたり、非力な母子を助けて仇討ちをしたりといった、危険で困難だが依頼金も高い「ウラ」の仕事も転がり込んでくるというわけだ。
このウラの仕事を引き受ける助け人は、かなり腕の立つものでなければならない。多くの助け人たちと共に日頃は表の仕事をやりながら、時にウラの仕事も引き受ける男が2人いる。辻平内(中谷一郎)という元侍で、今は得度して裏長屋に住む男と、中山文十郎(田村高廣)という滅法腕のたつ明るい浪人者だ。それに時に清兵衛、利吉が加わって、持ち前の正義感とクールなビジネス感覚も爽快に、4人がそれぞれの特技を生かして夜の闇に活躍するのである。 「助け人」稼業の基本モラルは、“世のため人のため、弱きを助け強きをくじく”ところにある。しかしそこは稼業だから金銭のやりとりも当然出てくる。助け人たちはそれでタツキの道をたてているのだから当然であろう。元締の清兵衛も、今は改心し、短くなったローソク一つでも大事にする始末屋だ。ところが、危険で困難な仕事なのに、依頼人が貧しくて実費も払えない場合も出てくる。そういう時は元盗賊で貯め込んだ金がものをいい、清兵衛は昔の罪滅ぼしのように自前をきってでも人助けに乗り出してくれる。しかし、もともとスカンピンの平内らはそうはいかない。利吉から駕籠代をせしめ、ふうふう歩いて浮かすのがせめてもの余得だ。

清兵衛……(山村 聰)
江戸でも名だたる元大泥棒の大工の棟梁。若い頃、どう間違ったか裏稼業で盗賊の道に入った。生来の身の軽さ、指先の器用さ、度胸のよさから“幻の清兵衛”と言われるほどの名人怪盗になっていた。しかし彼にも転機が訪れる。盗っ人は所詮、悪でしかない。自らの腕と技と永年の間に貯えた金を、なんとか善に使う道はないものかと考え、大工の他に表稼業として <よろず助け口御引受処> の看板を出す一方、ウラの「助け人」の元締を始めた。稼業だから必要な経費はいただく。助け人たちの人件費や諸経費である。ただし、清兵衛の営業費は取らない。そういう見事に一転した清兵衛の正義感が、人生の裏街道を知り尽くした年輪とないまぜになって、清兵衛を稀に見る人間的魅力を持った男にしている。

油紙の利吉………(津坂匡章)
清兵衛のもとで働く、元泥棒。清兵衛の子分として大工の弟子であり盗賊の仲間でもあったが、清兵衛が助け人稼業を始めるとともに、番頭役になった。一筋縄ではいかない助け人たちの仕事口を配分したり、一寸油断すると必要経費をごまかそうとする平内らの手口を見破ったりと、憎めない人柄で采配している。かと思うと「ウラ稼業」では忍びの特技を生かして活躍もする男。文十郎が、しかるべきところへ嫁にと期待している妹のしのと相思相愛の仲だが、このことを文十郎に話す勇気だけは欠けているようだ。

辻 平内………(中谷一郎)
元侍で今は得度して裏長屋に住む。もとはさる小藩に近習として仕えていた。ある時、主君が親類筋の旗本に宴席で辱しめを受け、思わず立ってその旗本を殴りつけた。その場は主君が平内を手討ちにする事で収まるが、相手は名にしおう旗本、そのまま知らぬ顔というわけにはいかない。平内の器量と腕を惜しんだ主君は、平内を手討ちにしたことにして藩外へ追放、彼も宮仕えはくだらぬと妻子と別れ、得度して市井に身を沈めた。女好きで酒好き、人間の欲望ならなんでもという快楽主義の現実家、大小を捨てた以上、刀は使わないが腕は立つ。煙草好きの平内がいつも手にしているのは煙管(キセル)だ。そこで羅宇(ラオ)の先を削って手槍にし、普段は雁首をかぶせて煙管として使っているというのが、いつしか彼の必殺武器となった。

辻 綾(平内の妻)……(小山明子)
平内は追放されたが、息子新吾の家督相続で藩の江戸屋敷に住んでいる。毎月八の日に平内の所へ息子の学資と生活費を受け取りにやって来る。平内はややもすると忘れるが、その時は平内がどこにいようが、吉原にいても、平然と取りにやって来る。息子を平内のように育ててはならないと、馬術も弓術もと、大変な教育熱心。美しい賢母型の女性である。

中山文十郎………(田村高廣)
独身で妹と一緒に長屋に住んでいる浪人者。滅法腕が立つ居合いの達人。いつかはしかるべき所へ仕官したいと望んではいるが、歴代の浪人者が安定した世の中で仕官するなど夢のような話だ。それでも、中山安兵衛のようなキッカケはないものかと助け人稼業に励むが、一方、こんな稼業では名を出せないと悩みもする。まだ自分はいいとしても、気がかりなのは妹しの。しのだけはしかるべき所へ立派に嫁にやりたいと一途な愛情を妹に注いでいる。武器は大小様々な形の刀。これらを情況に応じて巧みに使い分ける。

中山しの(文十郎の妹)………(佐野厚子)
この世でたった一人の肉親である兄が好きだし、兄の愛情も心から嬉しい。しかし今の世は、浪人ものが腕だけで仕官できる時代ではない。市井で平和に暮らせればよいと、元締の清兵衛の所で働いている利吉と愛し合っている。

お吉(小唄の師匠)………(野川由美子)
中山文十郎の情人。元芸者だったが今は小唄の師匠。中山家へよく出入りし、しのとも仲良し。しのは兄に言えない事でも、気さくなお吉には何でも相談してくる。どこでどう見張るのか、お吉は文十郎が浮気しようとすると必ず現われて邪魔をする。文十郎と所帯を持てる日の来ることを、お吉は夢見ているのだが、文十郎の方はなかなか結婚までは踏み切れない。

キャスト・スタッフ
スタッフ 制 作:松竹(株)
キー局:ABC
放送期間: 1973年10月20日~1974年6月22日
脚 本:野上龍雄・国弘威雄 他
監 督:蔵原惟繕・三隅研次 他
出演 田村高廣、中谷一郎、山村 聰、宮内 洋、津坂匡章、野川由美子、住吉正博、佐野厚子、小山明子