必殺からくり人 血風編
毎週月~金曜 15:00~ 2018/5/7 スタート
江戸の表玄関である東海道の品川宿。鳥羽伏見の戦いで勝利をおさめた薩長連合軍の江戸総攻撃近しの報に、幕府は臨時の屯所を設け、薩長に対する検問を強化した。
幕軍の隊列が連日のように西へ向かって駆け抜き、町の空気は騒然。戦争の不安におびえ、それをまぎらわせるために夜ごと浮かれ騒ぐ者、どさくさにまぎれて一儲けを企む者。白浜屋は、そんな品川宿にある旅籠(はたご)で、女主人おりくが切り回している。実は彼女にはもう一つの顔があった。のさばる悪に泣く人々に代わって恨みを晴らす闇の殺し屋“からくり人”の女元締としての、それだ。
おりくの指図を受けて動くのは、女郎のあっせん屋である“玉ころがし”の直次郎、東海寺の寺小姓の新之助、白浜屋の飯盛女おいねの3人。彼らには官軍も幕軍もない。どちら側にせよ許せない悪党ならば、頼み人のために殺すのをためらわない。
ところがある日、ここへ土左衛門と名乗る官軍の密偵が強引に仲間入りしてきた。敵の銃弾を浴び、死にかけていたところをおりくらに助けられた土左衛門は、おりくらが“からくり人”だと知ると、敵から身を隠すには格好の場所と白浜屋に居すわったのだ。土左衛門は味方である官軍の命令に従うと同時に、元締おりくの指図通りに殺しもやるわけだが、直次郎らはそんなどっちつかずの土左衛門の態度が、我慢ならない。こうして組織に一種の緊張状態が生まれ、これが時には激しい内部対立へと発展する。
殺しのテクニックは、直次郎が柔術で鍛えた足技で、新之介が口に含んだ縫い針を相手の急所に突き立てる。“吹き針”で、土左衛門がシリーズ初の“飛び道具”ウィンチェスター銃で、と性格設定に合わせて3人3様。また、殺しの相談は白浜屋の地下の土蔵で行われる。
本シリーズは“必殺シリーズ”では初めて戦乱の世を背景としているが、これによって戦争という “大量殺人”と、殺し屋“からくり人”の“個別的な殺人”を対比させ、ダイナミック、かつフレッシュに物語を展開していくのが狙いである。
白浜屋おりく……(草笛光子)
品川宿の旅籠「白浜屋」の女主人。父の裏稼業を継いで“からくり人”の元締となった。芳太郎というぐうたら亭主がいるが、気にもとめず、好きなようにさせている。男まさりの度胸と、冷静な判断力と、暖かい心を兼ね備えている。
土左衛門………(山崎 努)
本名は不明。おぼれ死ぬところをおりくらに助けられたので、この名を名乗る。官軍の密偵で、敵の目を逃れるために“からくり人”に仲間入りしたが、手段を選ばない自軍のやり方が嫌になり、しだいにおりくらの生き方に心をひかれていく。
直次郎………(浜畑賢吉)
生まれてすぐ道に捨てられ、岡場所の女郎に拾われて育った。女を女郎屋に世話する“玉ころがし”が商売。しかも女が前よりも有利な条件で働けるように“ころがす”のをモットーにしている。足指の力が強く、これで天井からぶら下がったり敵のノドを締めたりする。
新之介……(ピーター)
東海寺の美しい寺小姓。特に主義や主張があるわけでなく、感覚だけで生きているような若者。“吹き針”の射程距離が短いので、女装してねらう相手に接近することが多い。興奮すると、とたんに河内弁が飛び出す。おいねに恋心を抱いているが、片思いのようだ。
おいね………(吉田日出子)
白浜屋の飯盛女。信じられるのはこれだけと、体を売って稼いだ金をせっせと貯め込んでいる。なかには薩摩や長州の藩札も。つまり、幕府、官軍のどちらが戦争に勝ってもいいように準備している。裏の畑で野菜を作り、これを白浜屋に売りつける徹底したがめつさだが、惚れた男には全てを投げ出す意外に純情な面もある。
スタッフ | 制 作:松竹(株) キー局:ABC 放送期間: 1976年10月29日~1977年1月14日 脚 本:村尾 昭・安倍徹郎 他 監 督:蔵原惟繕・工藤栄一 他 |
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出演 | 草笛光子 山崎努 浜畑賢吉 ピーター 吉田日出子 小林トシ江 桑山正一 柳沢真一 |