ハンサムセンキョ　ドラマ 監督・脚本／イベント 構成・脚本・演出
米山和仁（劇団ホチキス）

ドラマ『ハンサムセンキョ』が本格的に動き出したのは、昨年の2020年が明けたばかりの頃だったと思う。
その時はまさか、あんな1年になるなんて、想像もしていなかった。
脚本会議は途中からリモート会議に切り替わった。慣れない作り方によって脚本作りは難航。
ようやく脚本ができあがり、緊急事態宣言が解除されても、困難は続いた。
感染予防対策のため、予定していたロケ現場が使用できなくなったのだ。
しかし、それによって生じた設定変更が、結果的に、ドラマ全体の絵作りに説得力を与えた。
いざ撮影が始まっても、感染予防対策は、撮影現場との相性がすこぶる悪い。
出演者、スタッフ共に、普段以上の手間や苦労がのしかかった。
だが、だからこそ、現場の一体感は増した。

『ハンサムセンキョ』は、このドラマの主人公・天童勇樹のように、逆境を受け入れ、諦めず、ポジティブに問題に向き合った事で、熱いドラマになったと思う。
しかし、この未曾有の危機は、エンタメ業界に大きな試練を与えた。
勇樹のセリフの中にこんなセリフがある。

勇樹「諦めないための『さしすせそ』。・さくっと切り替える ・深刻にならない ・すぐ次の手を打つ ・せっかくだから楽しむ ・それがどうした！」

昨年のエンタメ界も、まさにこの「さしすせそ」のように、どんな試練が来ても、様々な工夫と、徹底した対策を施し乗り越えて来た。
たとえ困難に突き当たったとしても、次を見て、前に進み、作品を作りつづけた。
この『ハンサムセンキョ』も、幾多の企画変更を余儀なくされた今回のイベントも、歩みを止めなかったエンタメ界の皆様の尽力の上に成り立っている。
気を引き締め、しかし、ふざける所はとことんふざけ、最高のエンターテインメントをお届けしようと思う。

最後に、未曾有の事態は、社会への、そして政治への不満を助長する。
しかし、未来を作るのは「選挙」で投じる私たち一人一人の一票だ。
その尊さがより実感できるこの時代に生まれた『ハンサムセンキョ』。
その世界に触れられた皆様が、少しでも選挙への関心を持っていただければ、幸いである。