2024/9/15:いのちをいただく ~牛と人~
加工されなければ食することのできない食材、「肉」―――
前回大きな反響を呼んだ「いのちをいただく」第2弾は「牛肉」。
神奈川の食肉の拠点で「牛」がお肉になるまでを徹底リサーチしました。
センター内に事務所がある「全農かながわ・食肉販売所」の古屋所長のご案内で、
再びセンターに潜入です。
◆神奈川食肉センター
世界トップレベルの食品衛生管理基準を導入し、日本有数のと畜許可頭数と
処理能力を持つ食肉の拠点。
神奈川県のほぼ中央にあり、大規模消費地である首都圏への好アクセスも特徴の
一つです。
今回はこちらで「牛」が搬入されてからの工程を学びます。
◆牛の生体検査
農家さんが大切に育てた牛は、搬入されたのち係留所で生体検査を受けます。
担当するのは獣医師の資格を持つ神奈川県食肉衛生検査所の皆さん。
生体検査とは牛の健康診断のようなもの。
生きているときにしか確認することができない牛の体表や表情、歩行状態などを
望診や触診し異常がないかを見極めるものです。
ここで異常が見つかると「と畜」ができなくなります。
◆「と畜」の現場へ
係留所で生体検査を終えた牛は、センターの中へと消えていきます。
二人もしっかり消毒し、いよいよセンター内に潜入。
「と畜」の様子を見せていただきました。
センターに入った牛は、一頭ずつ「ノッキングペン」と言われる場所で体を
固定されます。
そして「カウパンチャー」と呼ばれる銃のような道具で眉間を撃たれると、
脳震盪を起こし意識を失います。
その後、鋭利なナイフで首の下の大きな血管を一気に切り、放血させます。
この処理によって作業員の安全を守りながら、牛に痛みを感じさせることなく
「いのちをいただく」ことができるんだそう。
大きな音と衝撃的なシーンに一瞬言葉を失う二人・・・。
担当者は話します。
「なるべく早く、苦しみのないように処理してあげたい気持ちで作業を進めています」
と。
牛肉も鮮度が価値を左右します。
そのため職員に求められるのは作業の正確さとスピード。
安全面にも配慮しながら作業はどんどん進められていきます。
◆解体後検査
「と畜」された牛は枝肉、内臓、皮、頭、尻尾など、どんどん解体されていきます。
そして解体された肉も神奈川県食肉衛生検査所の職員によって検査されます。
生体検査では見つからなかった内臓などの異常もチェック。
必要に応じて精密検査等を行い「と畜」した食肉の安全を支えています。
◆品質管理室
センターの中にも食肉の安全を支える部署があります。
それが「品質管理室」。
枝肉だけでなく施設内や道具類などの自主検査を行い、衛生面で安全な食肉の提供を
支えています。
◆日本食肉格付協会
牛肉の枝肉は「公益社団法人日本食肉格付協会」によって格付されます。
全国的に統一された格付を行うことで、食肉の流通の物差しとなり、安全な食肉の
適正価格が導き出されています。
公正な取引が行われることは、畜産農家さんを支えることにつながります。
神奈川食肉センター内でも協会職員が格付。
格付方法の説明を受け「お肉のプロ」の目利きを学びました。
◆神奈川ミートパッカー
センターで枝肉まで解体された牛肉は、同社で荷主さんの要望に合わせ
「部分肉」と呼ばれる大きさまでカットされます。
同一施設内にあるため、外気に触れることもなく衛生的。
部分肉の真空包装作業などを体験させていただきました。
真空包装された肉はお湯に通しその後冷却することでビニールが収縮。
安全にカット、加工された食肉は鮮度を保ったまま、荷主さんや販売店を経て、
消費者の元に届き、食卓に並びます。
◆JA全農かながわ・食肉販売所
JAを通じて出荷された家畜をセンターで「と畜」するための諸手続きや、販売を
希望する生産者に代わり、取引先にお肉を出荷する役目を担っている食肉販売所。
生産者と販売先の間に立ち、両者の関係を円滑にしています。
そしてもう一つの大きな役割が「お肉の目利き」。
販売先の求める肉を提供するためには格付協会の方と同程度の評価ができなければ
なりません。
枝肉の6~7番目の肋骨の間にナイフを入れ、肉を見つめる古屋所長。
その目利きは見事なもの。
知識と経験に感銘を受けたりゅうちゃんとちゃーはんでした。
◆職人プライド
センター内で働いているさまざまな方にお話を伺いました。
経済動物として存在し、命を捧げてくれる「牛」への愛情。
殺生している自覚と"仕事"の間で揺れる複雑な感情。
仕事への責任の中、感情を殺しながら命と向き合う毎日。
"なくてはならない仕事"を任されている責任とプライド。
そんな皆さんの共通の想いは「知ってほしいーーー」。
いのちを扱う人々が「その瞬間」まで牛に寄り添っていること。
牛への最大限のリスペクトと感謝を込めていのちをいただいていること。
私たちも。
心からの感謝を込めて。「いただきます」
企画:JAグループ神奈川
協力:JAあつぎ、JA全農かながわ
(株)神奈川食肉センター
(株)神奈川ミートパッカー
神奈川県食肉衛生検査所
公益社団法人日本食肉格付協会
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