2024/1/28:潜入!かながわ農業ハイスクール~吉田島高校編~
神奈川県内にある5つの農業系高校に潜入し、その魅力をお伝えするシリーズ第5弾!
ラストを飾るのは県西に位置する「吉田島高校」。
りゅうちゃん、初めての農業高校潜入です。
まずは校長先生に学校の歴史を教えていただきました。
1907年(明治40年)足柄上郡農業補習学校として創立
1948年(昭和5年)吉田島農林高校と改称
2017年(平成29年)吉田島高校に改称
2017年(平成31年)現在の単位制の全日制専門学科高校になりました。
学べる学科は農業系3科(都市農業科・食品加工科・環境緑地科)のほか、
県立高校で唯一、家庭科系の「生活科学科」を設置している高校でもあります。
校訓は地元の聖農 二宮尊徳の遺訓でもある「至誠勤労」。
さらに他人とではなく「過去と今」の自分を比べられるような、自己成長を促す
教育を目指しているとお話してくださいました。
県内で唯一の学びである「林業」の担当の先生を訪ねました。
出会ったのは環境緑地科で林業について教えている石塚洋平先生。
「山に行こう!」とちょっぴり強引な石塚先生とともに車を走らせること約30分。
到着したのは同校の山である「矢倉沢演習林」でした。
助手のちゃーはん天野も合流し、3人で演習林に踏み入り、実習授業を体験させて
いただきました。
今回の体験は倒木。
樹齢60年、高さ20メートルのヒノキを伐ることに。
倒す向きや角度を考えながらチェーンソーで「受け口」「追い口」を作り、楔を
少しずつ斧で打ち込んでいきました。
「安全に倒木するためには「木の音」に耳を澄ませること」と石塚先生。
「ミシ、ミシッ」という音が聞こえるたび、ドキドキする二人の様子が映し出され
ました。
そしていよいよその時。
ゆっくりと倒れていく木を、全員が目で追いました。
目印として打ち込んだ杭に見事命中!
3人は笑顔でハイタッチしました。
「林業」ってなんなんだろう...?
そんな素朴な疑問を持ったちゃーはん。
「農の手ほどキ」番外編、「木の手ほどキ」の開講です。
講師はもちろん石塚先生。
実は10年間きこりをしていたという異色の経歴の持ち主です。
体験で伐ったヒノキの「素材」としての価格はなんと3500円!
ところが加工し、柱やインテリア資材として「木材」と考え使う場合はその価値が
大きく上がります。
そのためにはどのように加工すれば、木材の価値を高められるかを知ることが重要
とのこと。
「林業は50年~100年のサイクルで伐って・使って・植えて・育てるを繰り返す
循環する産業」でした。
他の授業の様子も見せていただきました。
生徒たちはイキイキと、さまざまな実習に取り組んでいました。
倒した木は、年輪を調べその成長過程を明らかにします。(「樹幹解析」)
伐採した木を決められた高さで輪切りにし、その年輪の形を確認することでその木が
どのように成長していったかがわかるんだそうです。
そのデータを元に、次の植林や伐採の目安を導き出し、林業経営に役立てます。
成長に長い時間が必要な「木」ならではの学びです。
演習林での実習や木の苗の購入など、林業の学びで必要な活動の一部には
JAバンク神奈川の「未来の担い手応援事業」による資金が活用されています。
未来の担い手育成につながる学びには、JAバンク神奈川の想いも詰まっています。
吉田島高校は昨年、創立以来取り組んでいる「森林経営」が評価され
「第62回農林水産祭参加全国林業経営推奨行事」において栄誉ある「林野庁長官賞」
を受賞しました。
校長先生も「今後も林業の学びについてしっかりと取り組んでというメッセージを
いただいた」と笑顔を見せました。
石塚先生は
「山は無理をしなければ「恵み」を与え続けてくれる。
山の与えてくれる「恵みの量」をしっかりと受け止め、考えながら使っていけば
自然と共存できる」
と力強く、林業の未来についてお話してくれました。
企画:JAグループ神奈川
協力: JAかながわ西湘
JA神奈川県信連
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