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2025/1/19:愛川・懐古物語 ~歴史を紡ぐ天の虫~

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愛川町・半原地区で、糸や養蚕についてリサーチしました。

◆「養蚕」・「カイコ」を知る
「糸のまち」として繁栄してきた半原地区。中津川にかかる馬渡橋の近くで養蚕の
歴史や技術、携わった人々の想いを繋ぐラボ「馬渡コクナリ」を運営する小島さんに
「養蚕」について教えていただきました。
※コクナリ=Cocoonery(養蚕所)の意味

養蚕とは・・・糸を取ることを目的にカイコという昆虫を育てること。
カイコは繭を作り、その繭からとった生糸は明治40年頃〜昭和初期まで輸出品の
中心でした。
日本の近代化の礎となった主要産業です。

カイコとは・・・蛾の幼虫。人間が飼い慣らし数千年かけて家畜化したもの。
唯一食べられる「桑の葉」を食べ、複数回の脱皮ののち体内で作り出した糸で繭を
作ります。
漢字では「天の虫」と書き、人間がお世話をしないと生きられない生き物です。

カイコを育て、繭から得る糸を取ることで農家の生活も支えられてきました。
生糸の需要が高まり高値で取引されるようになると、農業のかたわら畑で桑を栽培し
養蚕を行う農家が多くなりました。
養蚕と農業は深い関わりがあったんです。

中津川沿いの小さな盆地である半原地区は、田畑も少なく農業だけで生計を立てること
が難しい地域でした。
そのため、狭い面積で高い収益性のある「養蚕」が盛んになったと言われています。

また当時の人々が研究を重ねた結果、今まで勘に頼っていたカイコの「孵化」が
コントロールできるようになりました。
ポイントは温度管理。
農業の繁忙期と重ならないよう調整し、都合の良い時に養蚕をすることが可能に
なりました。
一年に複数回の養蚕ができるようになったことは収入アップにつながり、
養蚕業は発展していきました。

養蚕が盛んになると、各工程が分業化されていきました。
桑の葉を栽培し丈夫なカイコを育てる人、糸を取る人、生糸を撚る人...。
それぞれが専門的に仕事を行うことで、高品質な生糸や絹製品の生産が可能に。
結果的に養蚕業は地域経済を大いに支えました。
当時の人々は、恩恵を与えてくれるカイコを「お蚕さま」と呼び、元気に育つよう
神様に祈りを捧げました。
それらが養蚕信仰につながったと言われています。

◆養蚕を体験
カイコは体内で糸を作り出し、糊状の成分(セリシン)とともに口から吐き出し
繭を形成していきます。
今回は繭を茹で、セリシンを溶かして糸を取る「糸繰り作業」を体験させていただき
ました。

繭は1本の糸でできています。
茹でているうちにほぐれて、糸を取ることができました。
ほぐれた糸の端は「糸口」と言い、現在使われている言葉の語源と言われています。
繭から繰り出された糸を「生糸」と言い、その後撚ったり加工を加えたものを
「絹(シルク)」と呼ぶんだそう。
りゅうちゃんも養蚕の奥深さを体感しました。

◆循環する産業「養蚕」を再び
桑の葉を栽培しカイコを育て、過程で出た食べかすやフンは畑の肥料に。
そして糸を頂いた後の繭中の蛹は油をとって石鹸の材料にしたり、佃煮などに調理し
タンパク源として摂取する。

小島さんは養蚕を「命を大切に無駄なく使い、循環させることができる産業」だと
教えてくれました。

馬渡コクナリでは養蚕を通じて「お蚕さま」を中心とした循環を再現していこうと
考えているんだそう。
取れた糸を「糸」として活用していきたいとお話してくれました。

◇馬渡コクナリ
 Instagram:mawatari cocoonery

◆「旬菜処 ちゃーはん農園」 #4
霜が降り、冬の空気に包まれた農園で作業開始。
今回も園主の政江さんご指導のもと、秋冬野菜の収穫を行いました。
収穫を終えた畑はとうとう土だけの姿に。
畑作業を行いながら、都市部で農地を守ることへの想いを教えていただきました。

◇うらののうえん
 HP:JAセレサ川崎 https://www.jaceresa.or.jp

◆カイコのフンを使った「美味しいもの」を提供するお店
馬渡コクナリで育てたカイコのフンは、近隣の「馬渡屋」にお渡ししていました。
愛川町を感じるメニューを提供する甘味処です。
経営している吉野さんは横浜在住。
愛川町に魅せられた一人です。
厨房の奥から出てきたのは、見慣れた姿の......ちゃーはん!
本日は吉野さんの元へ料理の修行に来ていました。

改めてカイコのフンの使い道を尋ねたりゅうちゃん。
カイコのフンは、未消化分の桑が発酵されて出てくるもの。
そしてカイコの餌になっているのは無農薬の桑。
そのため中国などでは古くから血流を良くするなどと言われ、
漢方薬として重宝されていたんだとか。
「蚕沙」と呼ばれ、こちらではシロップと一緒に炒ったものを煎じて飲む「お茶」
として提供されていました。

◆中津川のほとりで野外クッキング♪
ちゃーはんは馬渡屋さんと一緒に野外クッキングを敢行しました。
愛川町は北条軍が甲斐・武田軍と戦った「三増合戦」のあった場所。
地域の歴史と食の話を聞きつつ、吉野さんご指導のもと「蕎麦ほうとう」を作り
ました。

実は横浜市内で蕎麦店を営む吉野さん。
都内の蕎麦店で修行を終えたのち、自らの手で「蕎麦を栽培してみたい!」と
思うようになったんだとか。

「あいかわ準農家制度」という独自の制度がある愛川町。
要件を満たし認定されれば農地を借り受けることができる仕組みです。
吉野さんは認定を受け、借りた畑で蕎麦や野菜を栽培しているんだそうです。

「愛川町には全部あるーーー」と話す吉野さん。
町の豊かさや自然に魅せられ、2拠点生活を楽しんでいます。

◇あいかわ準農家制度
 HP:http://www.town.aikawa.kanagawa.jp

◆地域を感じる食を堪能
二人が打った「蕎麦ほうとう」のほか、お店で提供しているメニューを実食。
看板メニューの蕎麦団子「マゴベヱ団子」など、地域を感じる味を堪能しました。
「半原さんさ茶」の味に驚いたりゅうちゃん。
どれもここでしか味わえない味です。

馬渡屋では愛川町に由来するメニューを開発し提供しています。
皆さんも中津川・馬渡橋のほとりで愛川の食を満喫してみませんか?

◇馬渡屋
 Instagram:mawatariya.square.site
(営業時間などはこちらでご確認ください)
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◆横浜の発展を支えた愛川町の養蚕
愛川町を流れる「中津川」。
この存在も愛川町の発展には欠かせなかったようです。
養蚕や撚糸業に水車の動力が活用され、町を豊かにしてくれました。
そして半原に集められた繭玉は糸になり、横浜から世界に輸出。
日本経済や横浜の発展を愛川町が支えた歴史を知ることができました。

人々の暮らしを支え、豊かにしてくれた天の虫「蚕」。
循環する産業を学び、昔の人々に想いを馳せた1日でした。

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企画:JA県央愛川
協力:JAセレサ川崎
大貫繊維(株)

次回は1/26放送「次世代に伝えたい女性の力~相模原~」(再放送 1/27(月))

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