

2025/3/23:ウ・ラ・カ・タ〜牛削蹄師~






畜産業の裏方「牛削蹄師」のお仕事をリサーチしました。
◆「牛削蹄師」とは・・・?
聞きなれない職業「牛削蹄師」(ぎゅうさくていし)。
実は今までお邪魔したどの牧場とも関わりのあるお仕事だったんです。
牛は蹄(ひづめ)が2つの偶蹄類。
蹄は人間でいう「中指・薬指」に該当します。
削蹄師とはその2つのツメを削り整えるお仕事。
「牛のツメ切り屋さん」です。
ではなぜ、牛のツメを整える必要があるのでしょうか?
牛の体重はおよそ400~800キロ。
「4本の肢(あし)」で支えられています。
乳牛に限って言えば、妊娠することで乳を出すため胎児の体重をも支えることに。
蹄の状態が悪くなれば、妊娠・出産回数や乳量の減少に繋がります。
肥育牛に至っては、体調不良は体重増加に大きな影響を与えます。
牛が快適に生活できるよう、蹄が本来持っている機能が発揮できる形に整えます。
削蹄師とは「足元から牛の健康を支える」大切な仕事なんです。
実際に削蹄の様子を見せていただきました。
まずは牛の準備から。
牛の体を前から横から、そして急所でもある尻尾をロープで固定します。
さらに簡単な目隠しをして準備は完了。
牛はとても臆病な生き物。
不安を感じさせないことが、安全確保の第一歩なんだそう。
そしていよいよ削蹄開始。
専門の道具を使い、まずは「荒削り」。
蹄に鉈のような刃物を当て、ゴム製ハンマー(削蹄槌)で叩くと分厚くて硬い蹄が
彫刻のように削られていきます。
この工程で大まかに蹄全体の形が整えられていきます。
続いて肢を持ち上げ、裏(蹄下面)の様子を確認。
理想の厚みになるまで電動削蹄器で削ります。
硬い部分はガスバーナーで炙って柔らかくしてから手で削って微調整。
そして「土踏まず」を作って完成!
蹄の内部には血管や神経が通っています。
そのため削蹄では、切り過ぎて傷つけないよう細心の注意を払います。
重くて力強い「牛の肢」を持ち上げコントロールする力と、手先の器用さ。
二つの能力を駆使して、牛の巨体をバランスよく支える4つの蹄を作ることが
牛削蹄師のお仕事なんです。
◆池田さんの横顔
神奈川県牛削蹄師会の初代会長も務めた池田さん。
実は新聞の募集欄で「牛削蹄師」という職業を知ったそう。
専門的に指導を受けたのち25歳で独立し「イケダ牛削蹄所」を開業しました。
酪農先進国であるオランダにも単身渡り、最先端の知識を習得。
「学んだ技術の数々は今も自分の根幹をなしている」と教えてくれました。
当時の神奈川県は酪農も盛んで、大変忙しい日々を送っていたんだそう。
現在はエサ代高騰や物価高の影響で、県内畜産業は危機的な状況にあります。
池田さんは20年前から削蹄価格を変えず、畜産農家を支えています。
40年以上の付き合いだという酪農家は
「池田さんは牛だけじゃなく、私たちにもパワーを与えてくれる存在」と話します。
◆「旬菜処 ちゃーはん農園」#6畑の片付け&堆肥作り(最終回)
季節はめぐり、農園でもいよいよ片付けの時。
畑に残っている野菜の葉などを根から抜き、畑の土を平らに均します。
続いては「腐葉土作り」。
敷地内で集めた落ち葉と野菜クズをサンドイッチのように交互に重ね、水をかけて
腐らせる天然の腐葉土。
今回は天地返しをお手伝い。大変な重労働でした。
出来上がった腐葉土は畑に入れ、次の野菜作りに役立てる予定です。
自然の摂理と「循環」を体感しました。
約半年の農園体験で「野菜作りの大変さ」を知ったちゃーはん。
お母さんに「改めて農家さんの凄さを感じた」と伝えました。
半年間お世話になった「うらのののうえん」の浦野さん親娘。
利用者の皆さん。
貴重な体験、優しさ、素敵な時間をありがとうございました!
「うらのののうえん」では現在、次年度の利用者を募集しています。
詳しくはこちら。
◇うらのののうえん(JAセレサ川崎)
HP:https://www.jaceresa.or.jp
◆地域に生かされて
仕事を終えた池田さんが向かったのは大きな幹線道路。
地域の子どもたちの安全を守る活動に力を入れている様子も目にしました。
下校途中に大きな声でかわす挨拶。
「こんにちはー」。「おかえり~」。「学校楽しかった?」。
他愛もない言葉かけが子どもたちを笑顔にします。
児童たちの朝夕登下校の見守りを続けること20年以上。
「子どもは地域の宝」。
教育の現場に身を置き、池田さんの良き理解者でもあるという仲間の一人は、
池田さんの活動への敬意と感謝を伝えました。
どの活動でも裏方に徹している池田さん。
理由を問うと・・・「地域への恩返しと恩送り」という言葉が返ってきました。
◆「かながわのブランド肉」でみんな笑顔に
池田さんをねぎらうために料理を振る舞うことにした二人。
助っ人として呼ばれたJA全農かながわの古屋所長と一緒に、かながわのブランド肉
「やまゆり牛」と「やまゆりポーク」を持参してくれました。
3人で調理し、地域のみんなで「いただきま~す!」
池田さんの顔にも笑顔が浮かびます。
◆「畜産業」という繋がり
「削蹄師は天職」と話す池田さん。
古屋所長に『いのちをいただく~牛と人~』の感想を話し始めました。
初対面でありながら「畜産業界」で働く同志の二人。
「お互い"裏方"だけどなくてはならない仕事」と労いあいながら会話は弾みます。
畜産の"はしくれ"としてーーー。
畜産のウラカタ、池田さんの矜恃を見ました。






企画:JAグループ神奈川
協力: JA湘南
JAセレサ川崎
JA全農かながわ