「花園に行く事で得られる財産の一つは、県大会後の約2ヶ月続くさらなるチームの成長です。」と話す桐蔭学園ラグビー部の藤原監督。今大会で見事に実証してくれました。
初戦こそ苦しんだものの、準々決勝で常翔学園(以前の大阪工大高校)に「ベストゲーム」と首脳陣が評価する内容で快勝!続く準決勝も大阪朝鮮を振り切り4年ぶりに決勝の舞台へ。
相手は「最強」の称号に相応しく、圧勝で勝上がってきた東福岡。高校日本代表とU17日本代表を合わせて11人も擁し、FWの平均体重は桐蔭学園を10kg上回ります。3番の垣永主将は身長185cm体重105kg、通路ですれ違った際に感じたのはオリンピックの柔道選手の様な風格。
でも、桐蔭学園は堂々と落ち着いて花園の芝を踏みしめていました。
「1年間、相手ボールを奪い攻撃に繋げる練習を積んだ」成果を見事に発揮。大きな相手の懐にあるボールを小さなFWがえぐり取り、逃げるキックは使わず果敢に勝負を挑みます。
前半15分にはU17日本代表の竹中が倒れない走りでチャンスメイク、ミス無くボールを生かし続けウイング金子が左隅に会心の同点トライ!!
残念ながら徐々に東福岡の“迷い無き圧力”に突き放されましたが、桐蔭学園は一歩もひるまず。
献身的に力を結集するFWが接点で粘り、フルバックでもう一人のU17日本代表の松島やスタンドオフ小倉らが何度跳ね返されてもゴールラインへ突き進み、場内を沸かせます。
…31対5、二度目の決勝戦も準優勝に終わりましたが、力を出し尽くした姿は4年前の先輩達以上に晴れやかに映りました。
藤原監督は「2年生が注目されるチームだけど支えたのは3年生。真面目に取り組めるチームは、こう成長するという姿をみせてもらった。」と強敵に正面から立ち向かったメンバーをねぎらい「取り組みは正しかった。目指すところが見えた。」と次なる戦いを見据えていました。
浜田主将も「全国に体が決して大きくないチームは多い。でも体格で上回る相手にも戦える事を示せた。」と、悔しさが昇華し充実の表情。
花園のファンに鮮烈な強さとスピードを印象付けた2年生竹中は「なかなかトライを許してくれませんでした。強かったです。一つの声が聞こえたら皆が迷わずまとまって、同じ方向に動き出せる...東福岡の様なチームを目指したい!」と目を輝かせています。
表彰式を終えた直後、選手の間からは「さあ、帰ったらウエイトトレーニングするぞ!」とひと際大きな声が。3年生がチームを去っても桐蔭学園の成長は止まらない、と確信しました。
早くも来年度、第90回の記念大会は全国でレベルの高い戦いになると言われています。神奈川県内の慶応義塾を初めとするライバル達も、既に県内外の強豪と試合を重ね大舞台へのスタートラインに。熱戦への期待は尽きません。
一年後はもちろん、2019年日本ワールドカップに繋がる財産を目の当たりにした一日でした。