アナウンサーズマガジン

画面では決して見ることの出来ないアナの表情が満載!番組への意気込みや裏話も アナ本人の文章で紹介。

bp


 晩秋のある日、長男の通う中学校の担任の先生から自宅に電話が掛かってきました。
「え!?何かしでかしたのかな?」と一瞬ドキッとしましたが、先生からのお願いでした。
「学校行事で、毎年お父さんやお母さんから生徒達に仕事などの体験を話してもらっているんです。」とのこと。よくよく聞くと簡単には済まない内容。公立の中学校ではあまり例のない21年も続いている行事で、題して「家族の講話」…長男のクラスで一時間話をするというものでした。「講話」と言われても、瀬戸内寂聴さんの様に魅力ある話を長時間できるわけでもないし、忙しい時期だし…。最初は断ろうと思っていたのですが先生もランダムに依頼をする中で、話をしてくれる父兄を見つけるのは大変な様子。
 「ここは一つ、息子がお世話になっている中学校への恩返しのつもりで!」と引き受けることにしました。仕事が休みの日、ボランティアになりますが上司にも報告をして、5時間目の授業時間に合わせ中学校に出掛けました。
(以前書きましたが)22年前母校の教育実習以来の経験です。黒板に上手に歓迎の文字とイラストを書いてくれ感激!(上の方に小さく“アンパンマン”が書いてあったのが一寸気になりましたが。)


 自分が中学生だった頃、進路を選んだ時、アナウンサーになった経緯(いずれも大した理由ではないのですが)、実際の毎日、特にスポーツ中継を担当するアナウンサーの放送時間以外の仕事は想像以上に地味な事など...皆、予想以上に目を輝かせて聞いてくれました。
最後に体験として、ヒーローインタビューや街頭インタビューを二人一組になって実践してもらいました。正直いきなり「やってみて!」と言っても難しいのですが、工夫して何とか答えを導き出そうとする姿は刺激になりました。


 あっという間に持ち時間は終わり。皆の役に立ったのかどうかは分りませんでした。将来の目標をはっきり持った生徒は、まだ少ない中学生の頃。いつか折に触れて「こんな話をしていったお父さんがいたなあ。」と思い出してくれたら幸いです。
 因みに、講話のあと我が息子は気を遣ってか「面白かったよ!」と言ってくれましたが、
「クラスメイトは何か言っていた?」と聞くと「お前の父ちゃんお前と雰囲気が似ているなあ。」と言われたそうです。感想はそれだけかなぁ?