LIVE REPORT
イベントのオープニングを飾ったのは、自身初のレギュラー番組として97年4月から98年3月まで「saku saku MORNING CALL」でMCを務めたPUFFY。
彼女たちにとっては実に約20年ぶりのtvk凱旋ライブとなった。1曲目は「愛のしるし」。キャッチーな振り付けを交えながら歌う大貫亜美、吉村由美の姿に、オーディエンスはクラップで応戦する。横浜の海風を感じさせるロックチューン「海へと」を届けた2人は、「tvkさんには20年ほっとかれてた(笑)。でも今回、声をかけていただいてありがとうございます」(亜美)、「トップバッターは荷が重いけど、しっかり盛り上げていこうと思います」(由美)とPUFFYらしい語り口で思いを伝える。そこからは「パフィピポ山」「これが私の生きる道」「渚にまつわるエトセトラ」と新旧織り交ぜたキラーチューンで会場をどんどんあたためていく。ロックナンバー「誰かが」で人との繋がりの大事さをメッセージした後、ラストナンバーは彼女たちのデビュー曲「アジアの純真」。時を経ても色あせない名曲のパワーを証明する、笑顔があふれる最高にハッピーなエンディングとなった。
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セレクターのThe BK Soundが神奈川にまつわる楽曲をスピンし、フロアをしっかりあたためた後にステージへあらわれたのは湘南乃風。
現在放送中の「News Link」エンディングテーマとして「陽はまたのぼる」を書き下ろし、メンバーであるRED RICEが音楽情報バラエティ「関内デビル」にウィークリーゲスト出演するなど、tvkとのかかわりは深い。しょっぱなから「SHOW TIME」「Joker」「Rockin’Wild」のサビを繋げてクライマックスのような熱気を生み出すメンバーたち。「爆音Breakers」「黄金魂」と続くアッパーナンバーでは、異なる4Dee Jayの個性が絡まり合うことで熱いパフォーマンスが展開されていく。HAN-KUNによるアカペラでの「曖歌」から最高のラブソング「純恋歌」へと繋がる流れは圧巻。会場の照明をオフにし、オーディエンスが持つサイリウムやスマートフォンのライトなどを点灯させたことで、ぴあアリーナMMには美しい星空のような光景が広がることとなった。平和を願う若旦那の熱い意志をのせた「風乃時代」を経て、「睡蓮花」では会場中がタオルを回して巻き起こる熱風に包まれ、終わらない夏を感じながらライブは終了した。
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続いて登場したのはSPECIAL OTHERS。
メンバー全員が横浜出身である彼らは、tvkの音楽番組にも数多く出演。「MUTOMA」では何度もレギュラーコーナーを経験している。4人は思い思いに演奏を始め、それがいつしか重なり合って、1曲目「Anniversary」へと流れていく。tvkへの祝福の思いを乗せたような軽やかなメロディに、観客たちは心地よく酔いしれていく。「tvkに育てられたSPECIAL OTHERSです」とキーボードの芹澤“REMI”優真が一言発すると、それに続けてドラムの宮原“TOYIN”良太が「湘南乃風と聖飢魔Ⅱにサンドウィッチされるという、人生で二度は訪れないであろう機会をいただけて光栄です」と出順をイジって笑いを誘う。リラックスした気さくなムードを漂わせる4人ながらも、ひとたび演奏が始まれば、日本が誇るジャムインストバンドとして、スキルフルでスリリングなプレイを見せていく。グルービィなリズムが印象的な「BEN」、照明効果との相乗効果によってタイトルが示す新しい世界へ聴き手を誘った「NEW WORLD」、心地よい疾走感を生み出すサウンドにボーカルが加わることで鮮やかな景色を描き出した「Laurentech」と、渾身の4曲による感動的な音楽体験を届けてくれた。
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テーマ曲に導かれて幕を開けたのは聖飢魔Ⅱの黒ミサ(ライブ)だ。
5名の構成員に続き、ステージ上に登場してきた棺桶からデーモン閣下が登場すると、会場内の空気が一瞬で大きく沸き上がった。「創世紀」~「WINNER!」で圧巻のハードロックサウンドと、天をも貫く高音ボイスを披露し、オーディエンスの感情を大きく揺さぶっていく。かつてtvkの音楽番組「Live TOMATO」などで黒ミサの機会も多かった聖飢魔Ⅱ。神奈川の思い出について笑いを交えながら語っていく閣下のMCも切れ味バツグンだ。新曲「LOVE LETTER FROM A DEAD END」を歌い上げた後、出番を控える私立恵比寿中学との縁を告げた上で、「お前も中学生にしてやろうか!」と連呼。そこから待ちに待った「お前も蠟人形にしてやろうか!」と閣下の御言葉から始まった「蠟人形の館」では曲中に“♪神奈川ラララ~ぴあラララ~”というキャッチーな悪魔的サービスパートを盛り込むことも忘れない。ラストは「FIRE AFTER FIRE」を熱量高く届け、貫禄をまざまざと感じさせる黒ミサは終演した。
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5番手に登場したのは私立恵比寿中学。
2020年4月から「関内デビル」に、2021年4月からは声優として「関内エビル」にもレギュラー出演中の彼女たちは、現在進行形でtvkとの関係性を築いているグループだ。オープニング曲「ebiture」を経て、「Anytime,Anywhere」で学芸会(ライブ)がスタート。息の合ったダンスを繰り広げながら、9人の個性を色濃く映し出した歌声で楽曲の世界を鮮やかに彩っていく。MCでは、約9年前にアルバムのCMで「お前も中学生にしてやろうか」の文言を使うためにデーモン閣下に許可を取ったというエピソードを紹介。その縁が、tvk開局50周年という節目に同じステージ上で交じり合ったことは運命的と言えるのではないだろうか。「きゅるん」「ちがうの」「なないろ」と人気曲を立て続けに聴かせていく。楽曲ごとに表情をくるくると変えていく表現力の多彩さこそが彼女たちの大きな武器だ。ペンライトがカラフルに会場を染め上げる中、花粉症をテーマにした高速ナンバー「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」、ヘビィなEDMナンバー「Family Complex」、そして「仮契約のシンデレラ」をパフォーマンスし、学芸会は終了した。
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大きな拍手で迎え入れられたDISH//。
彼らは2017年4月から2020年3月まで「関内デビル」にレギュラー出演、様々なイベントにも参加してきた。以降もゲストとして登場することは多く、tvkとの関係は継続中だ。人気TVアニメのオープニングテーマにもなっていた疾走系ロックナンバー「No.1」でライブは勢いよくスタート。盤石なバンドサウンドの上で響く北村匠海の歌声が会場を一瞬で掌握していく。「はじめまして、DISH//です。最後までどうか楽しんでください」という北村の短い挨拶に続き、力強いアンセム感のある「DAWN」を。その後は、以前に「関内デビル」のために書き下ろしたオリジナルテーマソング「おいでよ、関内デビル」を披露。これまでライブでは1度しか演奏したことがないというレア楽曲にファンは大きく沸いた。無数のコブシが突き上げられた「勝手にMY SOUL」、激しいジャンプでぴあアリーナMMが揺れまくった「JUMPer」を立て続けにプレイ。冒頭をアカペラで歌うことで曲の世界へと一気に引き込んだ「沈丁花」では、オーディエンス全員が手を左右に振るハッピーな光景が広がっていく。ラストはDISH//の代表曲「猫」を情感豊かに届け、興奮のライブを締めくくった。
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この日の大トリを務めたのは、2003年から2006年まで音楽情報バラエティ番組「saku saku」では2代目MCを担当し、今年8月にはtvk開局50周年特別番組「saku saku 2022 ~復活の呪文 らえからむきとんせんぃう゛いらし~」にも出演した木村カエラ。
カラフルな衣装に身を包み登場したカエラは、楽しそうにステップを踏みながら「リルラ リルハ」を鮮やかに歌い、続く「Butterfly」ではあたたかなメッセージで会場を優しく包み込んでいく。MCでは、「幼い頃から持ち続けていた歌手になる夢を叶えてくれたのはtvkだった」と万感の思いを込めて語る。当時を思い出し、感極まりながら歌われたのはデビュー曲「Level 42」。そこには、昔のtvkが“42チャンネル”だったことを受け、「私のレベルは42から始まるんだ」という思いが込められているのだという。その後は、エレキギターを抱えながらロックを鳴らした「BEAT」、“みんなの笑顔が見たいー!”というフレーズが印象的な「Magic Music」を連続で届ける。そして、ラストはtvk開局50周年ソングとして書き下ろされた「Color Me feat. マヒトゥ・ザ・ピーポー」を、感情たっぷりに届け、記念すべきイベントのフィナーレを飾った。
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文 :もりひでゆき 写真:山下大輔